KMC陸上クラブ

府中市民陸上競技場を中心に東京都多摩地域で活動している小学生・中学生・高校生対象のジュニア陸上クラブ(陸上教室)です!

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トレーニングの原理原則

川口 博正

スポーツ選手が行うトレーニングとは、運動刺激による身体の適応を利用し機能及び組織を向上させ、作業能力を高めることを意味します。
では、どのような運動刺激が効果的にトレーニングの成果をあげるのでしょうか。
そこには原理・原則があり、それを理解した上でトレーニングを行うことが重要になります。

【ルーの法則】
ルーの法則をわかりやすく説明すると、筋肉は使わなければ細くなり、適度に使えば維持・発達するが、過度に使えば障害を起こすというものです。
ルーという学者が提唱したこの法則がトレーニングの基本となる考え方です。

【トレーニングの三大原理】
ルーの法則をより発展させたものが以下の三つの原理です。
■過負荷(オーバーロード)の原理
日常生活で体験しているよりも高い運動負荷をかけなければ体力は向上しない。
ウォーキングも普段と同じようにダラダラと歩いていては、効果が期待できないということです。
■可逆性の原理
トレーニング効果は、トレーニング継続中は維持されるが中断すると徐々に失われていき、トレーニング期間が長ければ失われていく速度は遅く、短ければそれだけ早い。
■特異性の原理SAID(Specific Adaptation to Imposed Demands)の原則
身体は課せられた刺激に対して特異的に適応するというものです。 トレーニング効果はそのトレーニングの内容により、特異的に向上するので陸上の短距離選手が球技をしたり泳いだりしても100mの記録は伸びないということです。 これは筋力トレーニングを行う場合も同じです。 競技特性を考えた上でどこの筋肉をどのような動作で鍛えるのかを考えなければトレーニング効果は望めないということです。
【トレーニングの五大原則】
では次にトレーニングを行う上で守らなければならない五つの原則について説明します。
■全面性の原則
ある体力要素を向上させたいのであれば、トレーニングの基礎として他の体力要素も向上させなければならないという原則のこと。 ※体力というのは色々な要素で構成されているので、出来る限り全ての体力要素を鍛えていかなければならないということです。 この全面性の原則がベースとなり、次にあげる個別性の原則が上乗せされます。
■個別性の原則
遺伝的なもの後天的なものを合わせて、各個人のもつ体質、体力レベル、技術レベル、年齢、目的などによりトレーニング内容を選ばなければなりません。 人間の身体は千差万別、人それぞれ微妙に違いがあります。 当然、トレーニングメニューを作成するときも10人いれば10通りのメニューが必要になってきます。 10人全員が全く同じプログラムということはあり得ません。
■漸進性の原則
トレーニングの強度、量、難易度は発達に合わせて段階的に増加またはレベルアップさせなければならないという原則のことです。 急激に運動強度を増加させてしまうと障害を起こす原因となりますし、技術的レベルを急激に上げてしまうことは意欲低下にも繋がります。
■反復性(継続性)の原則
技術的なものにしろ体力的なものにしろ、適切な運動刺激が反復して身体に与えられることによりトレーニング効果を得ることができるという原則です。 トレーニングの効果は長期間のトレーニングによって、初めて目に見える大きな効果を期待することができるので、いかに優れた施設や指導者、トレーニングメニューがあったとしても継続しなければ効果は表れません。
■意識性(自覚性)の原則
トレーニングを行うにはその目的をしっかりと理解しなければならないという原則です。 スポーツ選手が自分の行っているトレーニングの目的を理解していないとしたら得られる効果は少なく傷害を起こしてしまう可能性もあるのです。 あなたは自分が行っているトレーニングメニュー全ての目的を説明できますか?
おわりに
トレーニングは体を鍛えるために行うものですが、トレーニングで怪我をしてしまうことがよくあります。
しかしそれではそもそもの目的とは全く逆行しています。
また、トレーニングを必死に行っているにもかかわらず結果に繋がらないこともよくあります。
これでは時間や労力の無駄です。しかし正しい知識を身につけてトレーニングを行うことにより安全かつ効率的に結果を出すことができるのです。
しっかり食べて十分な休養を取っているにもかかわらず怪我をしてしまったり結果が出せない選手はこの原理原則に沿ったトレーニングをしているかもう一度考えてみましょう。
きっと何かが抜けているはずです。
この原理原則をしっかり頭に入れて安全で効率的なトレーニングを行うよう心がけましょう。

※体力とは

体力

身体的要素

行動体力

形態

体格

機能

筋力

敏捷性

持久力

パワー

平衡性

柔軟性

協調性

防衛体力

構造

器官、組織の構造

機能

温度調節

免疫

身体的ストレスに対する抵抗力

精神的要素

行動体力

意志

判断

意欲

防衛体力

精神的ストレスに対する抵抗力

参考図書
運動処方入門 共栄出版
トレーニング用語辞典 森永製菓株式会社健康事業部
アスレティックトレーナー教本 財団法人 日本体育協会